極限的理性の喚声

ああ、愛しきニーチェ!きみの瘴気が好きなのだ。ぼくはその毒を両腕に抱いて恍惚に浸る、天を仰ぐ。すべてを孕んだきみ。天国と地獄、嘲笑と敬愛、生と死、苦しみと幸せを。

ぼくはきみに出会い、そうして説諭をやめたのだ。きみが答えだったからではない。すべてが答えであるからだ。すべてを語るものをどうして縛れよう?なにもかもを、どうしてなにものかにできよう?ぼくの慈しみはすべてだ。あなたの内に存在する幾つもの目、ぼくに息づくあなたの存在、そして理性的思考、自己存在、ぼくはすべてを抱きかかえてすべてをかなぐり捨てる。どこまでも跳躍する。羽搏きによってすべてを得る。眼を開けていても、瞑っていても、ぼくはすべてを知っている。

眠れ、眠れ、そうして奥深くまでゆっくりと沈んでしまえ――ぼくはどこまでもきみを求めにゆくから。そうして重い沼の奥底で、きれいな毒を愛しながら死んでしまおう。なぜならそれもまたひとつの正解であるのだから。

あらゆるものから解放される。なぜなら真理など、存在しないのだから。

 

(2016/04/28)