ぼくらの愛のしくみ

ぼくの周りのひとたちはやさしい話を愛していて、ぼくはそれに時折、少しだけがっかりする。

なぜやさしいものを愛するのか、なぜあたたかいものを愛するのか。もしくは、なぜひたすらに愛することができるのか。
ぼくらは人間を愛せてしまうと百の口が揃って言うのに、ではなぜ、ひどくやさしいものを愛するのだろうか。


「それが心地いいのだ」と、まるで決まりきった仕草で振る舞う道化のように。




(橘優佳)