必要不可欠なぼくらの空洞

ぼくは
消え入りそうな
この中身を持たない空虚な言葉で
ぼくの空洞を満たす
満たさなくてもいいことと
決して満たされないことを知りながら
ぼくはさながら道化のように
空洞を埋めてゆく

空虚の中に
そうして空虚が積み上がり
それでもぼくの口の端は
言葉を紡ぎ続ける
まるでなにかに追い立てられているような
恐怖に駆られた眼をしながら


ぼくたちは、
この残酷な空洞に耐えられない
だから言葉を作り
虚構を組み立て
知っていることに目を塞いだのだ
真実を屠り
自分の一部をそうして墓に埋めたのだ
ぼくたちは、
たくさんの知らない言葉を聞くことで
人を愛し、人を憎み
そうやって人と関わることで
たくさんの言葉で世界を埋め尽くすことで
埋められぬ世界を埋める

だからぼくは、
「彼らが必要だ」と
口の端で語り続ける