光る双眸

ぼくが夢見ていたあの星には、
もう永遠に手が届かないのかしら
当然のような顔をして薄氷の上を歩く
真っ直ぐ前を見つめて
力強く足下を踏みしめる
氷が割れることはない
その裏にあるものを、
ぼくは見て見ぬふりで殺している
きちんと息ができなくなるように
ていねいに殺さなきゃならない
もう二度と息を吹き返さないように
きちんと最後まで殺さなきゃならない
だって、それは呪いだから

ぼくの見てた星は、
たぶん誰にも見ることが出来ない
たとえば誰かが
それは童話だと笑うかもしれない
それならぼくはそうだよと笑うよ
だってもしかしたら、
そんな星はぼくの想像でしかなかった
ありもしない、
美しい幻の星。
あそこを目指して進んでいけば、
いつか君は苦しむことがなくなると
たくさんの仲間ができると
言ったのは誰で
信じたのは、
果たして誰だったか


掃いては捨てるほど溢れている人間
飽和する価値観
それを真っ白に染めてしまったら、
ねえ
世界はようやく面白くなるだろうか
ぼくが口の端を持ち上げられる程度には
不思議な様相になってくれるかな

あのね、
隠喩を剥いだあとの肉塊を
ぼくは愛することができるだろうか

愛せなくなるのが怖いのだと
青ざめた顔をするぼくの横顔は
彼が愛する人間達に、少しだけ似ていた